「できるだけ昔の味を変えずに作ってるんですよ」と言い、手際よく生地を回転させるのは、東浜商店街でずぼら焼を営む3代目・今井 政文さんだ。約30年前に妻・麻美子さんの家業を夫婦で継ぎ、昭和34年創業の味を守っている。
自家製の白あんや黒あんなどがほっくりとした生地に包まれ、1つ95円。一般的に今川焼や大判焼と呼ばれがちだが、ここでは「ずぼら焼」で商標登録している。名前の由来は「材料が値上がりしても原価計算をずぼらにすることで、変わらない値段で変わらない味を楽しんでもらいたい」という創業者の思いから。
作り手の高齢化や需要の変化により、材料や包装に関する馴染みの仕入先が廃業することも少なくない。それでも、創業者の思いを大切に、再現性の高いものを県外まで探し出して取り寄せている。
「町の景色は変わったけど、人の温もりは変わらないですね」と今井さん夫妻。町のシンボルと言えるこの店は、人々の心の拠り所まで守り続けているようだ。
撮影
黒岩 正和
文
前田 有佳利
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